お知らせ

Online EXHIBITION 「鉢と植物」 大谷哲也と近藤義展 TOKIIRO

2024年2月9日から17日まで、組む東京(東神田)にて、
大谷哲也の植木鉢とTOKIIRO近藤義展の多肉植物による展示が行われました。
この内容をOn Line EXHIBITIONでご紹介し、
引き続き3月10日まで オンラインストアで作品をご購入いただけます。

Online EXHIBITION 会期 2024年2月23日〜3月10日

是非ご高覧ください。
作品詳細・ご購入はこちら組む東京オンラインストア
ご購入ページは3月10日をもちまして、クローズいたしました。





20240222073945.jpg 20240222073602.jpg 20240222082327.jpg


20240222103729.jpg


大谷哲也が作る植木鉢とTOKIIRO近藤義展が植える多肉植物。


一つと同じ形のない、轆轤(ろくろ)でひき上げた白磁の植木鉢52点に、
52の植物の風景が施された、今回の展示。
「影ゆえに在る白と 白がうむ影の間で」>>HP

均衡を保つぎりぎりのバランスを自ら知り尽くしているように鉢の中に佇み、
その魅力的な姿を誇るかのように、
ずらりと並んで、私たちを見つめ返す多肉植物達。
植木鉢と植物の存在を浮き上がらせるために、白の空間を作りあげました。

20240222084712.jpg
20240221183615.jpg






20240221190443.jpg
光合成に必要な波長を持つ育成ライトを使用し、展示期間中の多肉植物の光不足による徒長を抑制




20240221221206.jpg
スチール製のホリゾントで逆光にライトを設置し、器や多肉植物の輪郭を浮かび上がらせた。




20240222091027.jpg
白磁の植木鉢と多肉植物の天空の森。


20240221204649.jpg
苔の大地にアクリルの天板。呼吸と光合成により天板に水滴が付き、植物が雲の上にいるよう。








近藤義展さんの仕事


「一つ一つの鉢に向き合うたびに、全く違う風景が心に浮かび、
それに真剣勝負で向き合った」と近藤さんは言います。
そしてそれは「これまでにない体験」だったと。


「混じりけのない真っ白な地平線に向き合い、景色を描くことを存分楽しみました」


今回そこに貫かれているのは、近藤さん自身の幼い日々の記憶。
浜辺の秘密基地で過ごした原風景です。
エピソード0
20240222005305.pdf


私たちがひとたび52の鉢植えと向き合えば、
一つ一つ、ミクロとマクロを行ったり来たり。
虫の視点で鬱蒼とした密林をくぐり抜け、
鳥の視点で空から森を見下ろすことができるのです。


寄せ植えの場合は、直径10センチほどの小さな面積に、
優に10種類以上の種が配されています。
そこに使われている多肉植物は、けして珍しいものではありません。
よく見れば、ホームセンターなどで見かけるものと種類は同じ。
けれど、ここにある多肉植物は、本当に同じものなのか?
と疑うほどに生き生きとした姿をしています。
それは何故なら、多肉達が近藤さんのもとで時間をかけて養生され、
本来のエネルギーに満ちた状態に整えられているからなのです。
中には、数十年も大切に育てられた株もあります。


PR003.jpg
近藤さんの創作の根源にあるのは、自然への畏敬の念。
判断に迷ったら「地球に聞く」。
そこには、植物が私たちを楽しませる飾り物だというような
手前勝手な解釈はありません。

本来の自然の美しさを大切に引き出し、鉢の中に構成された庭。
この庭に、近藤さんの未来への祈りが込められていると感じます。







二人の根底に響き合う、世界への眼差し


本来の素の美しさを尊び、引き出す。
これは、全てに通ずる大切なことだと思いますが、
同じことが、大谷さんの創作に、弟子を育てる眼差しに、
そして、地域に活力をもたらそうとする志にも感じられます。

近藤さんと大谷さんが、引き寄せられるように結びついた根底の意味は、
未来への深い思いの響き合いにあるのではないかということ。
展示準備を進めるうちに、そんなことを、
対話の中から、作品の中から、感じるようになっていきました。
そしてできるだけクリアに、この響き合いを会場に映し出したいと、
私の願いが生まれました。








大谷さんの仕事

大谷さん曰く、今回の二人のコラボレーションは、
「ジャズの即興のように息があった」と。

20240221220240.jpg
日常の食卓を豊かにすると同時に、世界中の料理家たちを虜にしてきた大谷さんの器。
これまでも長い間、料理人達と奏でるセッションの醍醐味を味わわれてきた大谷さん。

その大谷さんが植木鉢を作る。

20240221220120.jpg

コロナが落ち着き、大谷さんの個展で久しぶりお目にかかったときに、
「鉢と多肉植物で一緒にやってみようよ」と声をかけてくださり、始まった今回の試み。

大谷さんが向き合うものが、今、なぜ植木鉢なのか?
不思議に思いつつも、直感的に「見てみたい」と思いました。

大谷さんは、数年前から、ご自身で少しずつ植物を集め、それに合わせた植木鉢を作り、
また育て、ということを繰り返してきました。
そんな中、植物と植木鉢の創作に意識がむくようになったのだそうです。

20240221220351.jpg
大谷さんが長年手がけてきた器づくりでは、
多様な国籍、ジャンルの料理がある中で、
どんな料理をも受けとめられる器の姿を追求し、
そこにある本質は何かということを、具現化し続けてきました。
制作する時、大谷さんが注意深く行ってきたのは、
土着性を取り除き、底に横たわる普遍性をあぶり出すこと。

器で追求し続けた、その本質が、今回の植木鉢づくりにどのように反映されるのか。
多様な植物の在り方や、植物と文化の関わりの背景を受けとめる"植木鉢"の形。
今回の展示には、その一つの答えがあったと受け止めています。

20240221220541.jpg
大谷さんの植木鉢がもつ磁器独特の切れ味、なめらかさ。
轆轤でひかれた美しいシルエットの佇まいが、植木鉢に仕立てられた魅力。
来場者のみなさんの反響をみるほどに、
そこに新しい可能性を感じることができました。








掛け合いの境地

DM0061.jpg
料理であっても、植物であっても、
魅力的で多様な世界を"受け止める器"というものの本質を追いかける。
そこには相手が存在し、交わり合う。

懸命に向き合う世界をお互いに捧げあい、出来上がった作品たち。
今回、その掛け合いから生まれる境地を、
心から楽しんでいるお二人の姿を見せていただきました。

昨年のCASICAさんのインテリアグリーンとのコラボレーション、
今回のTOKIIROの多肉植物とのコラボレーション、
そして、5月には塩津植物研究所(奈良)の盆栽と。
セッションは続きます。

それは、ジャンルを変えての実験のようでいて、それにとらわれない。
ジャンルを超えた共通の旨味を探す試みになるのではないでしょうか。

20240221223257.jpg20240221223342.jpg20240221223430.jpg20240221223508.jpg
20240221223600.jpg20240221223648.jpg20240221223729.jpg20240221223816.jpg
20240221223915.jpg20240221224005.jpg20240221224054.jpg20240221224126.jpg
20240221224159.jpg20240221224230.jpg20240221224332.jpg20240221224409.jpg
20240221224505.jpg20240221224537.jpg20240221224619.jpg20240221224700.jpg
作品詳細・ご購入はこちら組む東京オンラインストア

この後、塩津さんご夫妻が手がける盆栽と大谷さんのセッションには、
その旨味がどのように立ち表れるのか。
さらに広がる世界が楽しみでならないのです。

組む東京 小沼訓子 
2024年2月 


組む展示会場では、大谷さん、近藤さん、二人のアトリエでの制作風景を上映しました。
普段は早回しでお見せすることが多い手仕事ですが、今回は、リアルなスピードでの手の動き、視線、呼吸を感じていただきたく、そのままを映像にしています。